パートの増大に伴って、パートの処遇改善が社会的な問題に
パート労働者は1200万人を超え、全雇用労働者22.9%を占めています。日本の労働市場のなかで欠かせない労働力となり、基幹的な役割が増大している にもかかわらず、正規労働者とパート労働者の処遇格差が拡大しています。そうした著しい処遇格差に対して、見直しが必要という社会的な運動が広がり始めて います。労働組合のナショナルセンターである全労連や連合で、パートの均等待遇の実現を課題に掲げ、パート政策や法案づくりが進められています。また、国 会の場においても、野党超党派の「パート労働者等の均等待遇を実現する議員連盟」(通称パート議連)が結成され、パート法の改正案骨子が発表されました。 今後、議員立法として、国会に提案する予定で精力的に活動が行なわれています。このように、パート労働者の賃金・処遇が社会的な問題として光があてられ、 均等待遇を求める運動が大きな流れになろうとしています。
大手スーパーでは、パートの能力発揮で生産性を上げる改革に着手
厚生労働省の「パートタイム労働研究会」が認める通り、パート労働は基幹労働化しています。なかでも商業、流通の分野はそうした点では最先端を歩いてい ます。生協の職場では、大手の流通業と比べても、非正規化の比率は高いのが実態です。
一方で、大手スーパーでは、人件費の削減ということは背景にありつつも、パート社員を積極的に位置付け、その力・能力を積極的に発揮してもらおうと、諸制 度の改革に着手してきています。ダイエーやイトーヨーカ堂、イオンなどをはじめとするパートの人事制度改革では、従来の正社員、パートなどの雇用形態を見 直し、基本的には制度の枠組みを一本化してパートが管理職や専門職で働ける、希望すれば正社員にもなれる制度を導入し、運用を開始してきています。パート の戦力化で、労働生産性をいかに上げるのかに着目して、人事制度の改革が行われています。
生協の「構造改革」のもとで、パートの位置付けは
一方、生協の現状はどうでしょうか。パートの店長や専門・技術職が生まれ、管理・判断業務、パートがパートを指導・管理するという状況も生まれています。 生協によっては、正規・パートの処遇制度を一本化し、パート職員を積極的に位置付け、その力を大いに発揮してもらおうというところも生まれてきています。
しかし、こうした生協はまだまだ少数です。これまでの延長線上でなし崩し的に正規がやってきた仕事・労働をパートに置き換え、賃金・労働条件も従来の パートの枠内で若干の手当で職務拡大するという状況が一般的となっています。パートの仕事、職種や職務の拡大を行おうとする場合でも、労組との話し合いや 合意もなく、経営権の範囲として強行するという事態も発生しています。
現状は、「構造改革」という名のもとに、賃下げ提案、賃下げを前提とした人事制度の提案が相次いでいます。こうした状況を考えれば、改めて職場とパート の実態、要求から賃金・人事制度問題、パートの処遇問題を考えていくことが重要となっているといえます。
厚生労働省の「パートタイム労働研究会最終報告」は、不充分ながらも「日本型均衡待遇」ということで、パートの賃金・処遇を正規に近づけよう、公正な ルールを確保しようと打ち出しています。そうした点では、賃金・人事制度の提案や変更などが出されているいまを、絶好のチャンスととらえて、正規を含め労 組内部での議論および理事会への問題提起を積極的におこなっていきましょう。
男女共同参画の観点から、社会制度の見なおしがされている
男女平等への女性たちの要求と運動の高まり、国連の「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」批准、「男女共同参画社会基本法」「男女雇用機会均等法」の制定、改定など、国内外で男女平等への歩みが前進しています。
これらの変化は、男女平等の要求やあらゆる雇用形態の差別を是正する要求が無視できなくなっていることをあらわしています。こうしたもとで「ライフスタ イルの選択に中立的な社会制度へ」「多様な働き方へ」「世帯単位から個人単位へ」という見なおしなど、女性の就業促進と「活用」をその一環として「女性の ライフスタイルの変化等に対応した年金のあり方に関する検討会報告」、内閣府・男女共同参画会議影響調査専門調査会「ライフスタイルの選択と税制・社会保 障・雇用システムに関する中間報告」などが提起されています。すでにそれぞれの報告をうけて、税制や年金制度の「改革」法案が審議されています。この動き には女性の就業促進の面と、これを口実に負担増を図る流れがあります。
年金や税制の「改革」で、パートの働き方や要求が大きく変わる
2004年に行われる年金「改革」では、パートへの厚生年金の適用拡大が具体的に検討されています。勤務時間が正規労働者の四分の三から週20時間以上 に、年収要件を130万円以上から65万円以上に加入要件を拡大する方向が濃厚となっています。また、健康保険についても、同様の年収65万円以上はパー ト労働者も加入することが義務付けられる方向で検討がすすめられています。
税制においても、配偶者特別控除の原則廃止が与党税制改正大綱で決定され、2004年から増税されようとしています。さらに配偶者控除や給与所得控除な どの見直しも検討されていて、さらに課税最低限度額の引き下げがすすめられようとしています。
こうした「改革」の動きは、税制や年金制度のもとで就労抑制をしていたパート労働者が、もっと長時間働きたいとこれまでの働き方を大きく変えることにも つながります。また、仕事の仕方・働き方への関心も高まってきます。パートの賃金・人事制度の改革では、こうした要求を実現してい方向で検討することが求 められます。 |